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探索5日目

さまざまな色が乗っかったパレットから、青い色の絵の具を掬い取る。
筆に乗ったそれは穂先からたなびく様に放射線を描く。

「いっけぇー!」

アーチが思い切り筆を振りかぶると、まるで生き物のように青い色が歩行雑草めがけて飛んだ。
青は瞬く間に彼を青く塗りつぶした。

「モッサァァァァァァァッ!?」

緑色から真っ青に塗り替えられ、
ほこうざっそう は こんらんしている!

「スカイブルーも、いきます!」

再び穂先から色が零れた。
青い空と同じ色のそれが、歩行雑草の目を直撃した。
ほこうざっそう は ころげまわっている!

「モサー!!!!!!!!!!!!!」

だが困ったことに、この攻撃には致命的な弱点があった。
それは相手へのダメージ性が全くないことであった。

「誰かそこの青いの攻撃よろしくー!」
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つづきのおはなし

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探索4日目

遺跡内部といえども相当広いようで、ずっと草むらが続いていた。

ざわざわ

ざわざわ

辺りの草が異様な音をたて始める。
それは明らかに、風が揺らしている音ではない。

「なにか…いる…!」

咄嗟にかばんの中を漁った。
私のかばんには不思議な魔法がかけてあって、絵の具などの画材が好きなだけ入る底なしの異次元空間になっている。
クレヨンから水彩色鉛筆、アクリルガッシュに水筆。
一つひとつ確かめながら、もっともっと奥の方まで手を伸ばす。
何か、武器になりそうなもの…

「これ!」

私が引き抜いたのは、大きな大きな平筆。
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■特注平筆45号(愛称:自由の旗)
大きなキャンバスにダイナミックに絵を描きたいと特別に作ってもらった身の丈ほどもある平筆。
筆先は最高級品の白コリンスキー100%。
絵具の含みに優れ、比類のないほど弾力性としなやかさを有する。
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がさっ

草むらから飛び出してきたのは、全身ヴィリディアンの塊。
目があって、口があって、耳があって、手足があって、二足歩行の。

「な、なにこれえええええええ!!!!」
「モッサァァァァァァァッ!!」

つづきのおはなし

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探索3日目

ヴィリディアンは広く、大きかった。
島に広がる森はその中枢に遺跡を覆い隠しているかのように存在した。

「すごい……」

目を覆うほどの森が頭上にも広がっていた。
見上げれば、僅かな隙間から白い糸のような光が降り注いでいる。
光は届かぬような遺跡の中は、意外にも見渡せるほど明るい。

「不思議ですねぇ。まるで光を溜め込んでいるみたい」

遺跡の外で出会ったシンとムラサキ。
そしてミコト、アルシスとメディアールと一緒に歩いていく。
行く先、視界には一面の、グラスグリーン。

つづきのおはなし

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絵の具戦士

絵の具戦士
飛ぶのは矢ではなく絵の具です。

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探索2日目

目を開けると、一面にシアン。
鮮やかなその色は上に、下に、右に、左に。
全方向に広がる色は、空だ。

「あれ?」

身を起こすとそこは原っぱだった。
その景色に見覚えはない。

右手を見る。
色のついていない、新品の絵筆だ。
左手を見る。
何も描かれていない真っ白なスケッチブックの1ページ目だ。

「えーっと…、どこだろう…」

立ち上がり服についた草を払いのけると、微かに声を聞いた。
遥かに見えるヴィリディアン。

「大きな森…」

スケッチブックと絵筆を鞄に詰め込んで、声を頼りに駆け出す。

つづきのおはなし

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